フランスにおける移民問題とEU市民権：市民性教育の視点からの検討

1. 研究背景

現代のEUは多様な文化や国籍を持つ市民から成り立っている。特に、フランスは移民受け入れ国としての歴史があり、EU市民権の概念とも関連深い。しかし、移民問題は依然として複雑で、シティズンシップや市民性教育の側面からも注目されている。

2. 研究目的

本研究は、フランスにおける移民問題とEU市民権を中心に、市民性教育の役割と意義を検討することを目的とする。

3. 既往研究と本研究の特徴

既往研究において、佐藤雅美氏は、EU市民権の概念とその意義について詳しく調査している。また、中村仁志氏は、フランス政治社会における移民問題の歴史的背景と現状に焦点を当てた研究を行っている。

本研究の特徴は、これらの研究を基に、市民性教育の視点を取り入れ、実際の教育現場やカリキュラムを検証しながら、移民問題とEU市民権の関連性を探る点にある。

4. 研究方法

a) フランスの市民性教育カリキュラムの内容分析

データ収集: フランスの公立学校における中学・高等教育の市民性教育カリキュラムを対象に、教科書や教案、補助教材を収集する。

分析手法: カリキュラムの内容をテーマ別にコーディング。特に移民問題やEU市民権に関連する内容を重点的に抽出。NVivoやATLAS.tiのような質的データ分析ソフトウェアを使用して分析を進める。

b) EU市民権を持つ移民と、持たない移民の意識調査

データ収集方法:

アンケート: EU市民権の有無、市民性教育の受けた内容、移民としての経験や認識、シティズンシップに対する意識等の項目を設定。

インタビュー: サンプリングはパリやマルセイユなどの主要都市を中心に行い、アンケートの結果に基づき深堀りしたインタビューを実施。

分析手法:

アンケート: SPSSやRを利用して、統計的な分析を行う。

インタビュー: インタビュー内容を文字起こしの後、主要なテーマやパターンを抽出し、NVivoやATLAStiを使用して分析。

c) フランスの教育機関や団体との協力を通じた実地調査

実地調査: フランスの教育機関や関連団体を訪問し、教育実践や取り組みの現場を視察。

インタビュー: 現場の教育者やスタッフとの意見交換を通じて、市民性教育の実際の内容や課題を理解する。

分析手法: 視察ノートやインタビューの内容を基に、フランスの市民性教育の実態や課題を整理。質的データ分析ソフトウェアを使用して、主要なテーマやパターンを抽出。

5. 期待される成果

市民性教育が、移民問題やEU市民権にどのような影響を持っているのかの理解を深める。また、フランスの教育現場での実際の取り組みや課題を明らかにし、今後の方向性を示唆する。

6. 参考文献

佐藤雅美. (2018). "EU市民権の概念とその変遷". 国際社会学研究, 10(2), 55-67.

中村仁志. (2020). "フランスにおける移民政策の展開". 政治社会学評論, 7(1), 45-59.